名古屋松隠軒にて香道体験。ちいさな刺激を感じられること

志野流の家元・名古屋松隠軒にて。
2〜3年前に、香道体験をする機会に恵まれました。

香道(こうどう)とは、お茶やお華のように香りを楽しむ芸術のこと。室町時代から500年以上もの歴史を持つとされていますが、起源をみれば茶道よりも古く奈良・飛鳥時代にまで遡ります。

こちらの御方、21世家元継承者の蜂谷宗苾さん。
香道を多くの方に知ってほしい!とのアツい想いをお持ちな素敵な方です。

写真は「聞香(もんこう)」。
香りを「聞く」ための型です。

香道では香りを「嗅ぐ」とは言わずに「聞く」と言い、お茶のお点前のように決まった型・フォーマットがあるのだそうな。

お手に持つは、「香炉」と呼ばれる小さな器。
火種の入った灰の上に置かれた数ミリの香木(こうぼく)から、自然に感謝しながら繊細な香りを楽しみます。

香炉の灰が現すは、陰陽五行の小宇宙。
天気や湿度、香炉の灰は高さ1mmの差異で違いが生じる香りを最高の状態で楽しめるよう、お弟子さんは何度も何度も美しい香炉を形作れるよう修行を繰り返すといいます。

香道で使うのは、沈香(じんこう)という天然の「香木」。

数十年以上の老木、1000分ほ1本程の確率で偶然うまれる貴重なもので、かの徳川家康公もお香好きだったとか。(香木は数百年を経ても香りが変わらず、徳川美術館では当時家康公が聞いた香りと同じ香りを楽しめるイベントが開催されることもあります)

純粋に香りを聞くだけではなく、香りあてゲームや源氏物語に絡めた風流な遊びのバリエーションもあります。

その日は2種類の香木をききました。
私が、2つ目の香木を「黄緑色で繊維のある和紙のような香り」と表現すると「そういった、人によって違う感想を聞くのはとても楽しい」とも言われていました。

蜂谷さんは、東京・京都、パリやロンドン、北京やアラブと世界を舞台に香道の魅力を伝えることに精力的。お会いした数日前はフランスで香道の講座をされていそうです(!)。

その一方で「(写真も)SNSなどでどんどんアップしてくださいね」「足がしびれたらすぐ崩してくださいね」と、親しみやすさもありました。お着物になる前の洋服もおしゃれだったのが印象的でした。

日夜お稽古の繰り返されるされる、雨の上がった夜の松隠軒には、ほのかに自然な優しい香りが漂っていて、日常とは少し離れた別世界感が素敵だったのでした。

。。。

感覚器にも情報過多な時代に、感性をとぎすますため。。。

五感の中で最も原始的な感覚とも言われる嗅覚。
香りを嗅ぐと昔の記憶を瞬時に思い出すことがあるように、香りというのは本能を司る脳にダイレクトに伝わる器官とされます。

食べ物や危険な香りの察知は、生死に関わる部分だからこそ。
匂いで危険を感じ取っていたことがある反面、現代生活では最も使われていない感覚だとも言われています。

情報過多な今。
多すぎる情報は目からや耳からだけではなく、鼻からも同じように「情報過多」。これは、強い香りのする洗剤を生活から引き算してから、最近感じることです。

強い刺激に慣れ切ると、感覚が麻痺する。
それはそのまま、生命力の低下に繋がる気もするけれど、それよりも!

弱い刺激・繊細な刺激を楽しめること。
それはそれは、豊かで楽しいことだなぁと思うのです。