美白信仰なぜ物語〜その壱。美白信仰の起源を求めて都風俗化粧伝

美白信仰はいつから始まったのだろう…。

江戸時代後半に出版された本を読んでいたら、面白い目次がありました。

・顔の色を白くする方法
・色を白くする薬の話
・色を白くしツヤを出す薬
・色を白くして肌を細かくツヤを出して玉のようにする薬
・色を白くし、老いを若返らせて美人とする薬
・色を白くし、顔のツヤを出し、シワを伸ばし、一生年寄りに見えない手術の伝

これらはぜんぶ、『都風俗化粧伝』の目次の一部。※
江戸時代の美容とファッションのハウツー本として人気だったようです。

黒子やシミの消し方、シワを伸ばして若い娘のようなツヤ顔になる方法等、事細かに書かれている内容の多くは現代の雑誌や美容サイトさながら。

肌のお手入れからお化粧の仕方、身のこなし方や考え方まで。「鼻の低きを高う見する伝」では、ハイライトと同じ考え方のノウハウも紹介されています。

材料は植物性のものが多い印象。
蕪の種や桑の枝、あずき粉、大根、しょうが等…。中には「蛇のぬけがら」や「セミの抜け殻」といったものも。

使いこなせたら、魔女になれそう。
逆まつげが痛いのを治す方法としては、逆まつげを抜いて血を出し、シラミの血を数回つけると癒えるとのこと。

(シラミの血には驚きますが、現代も消費者には見えない形で、凄まじい過程を持つ食べ物、美容アイテムはたくさん。『枕草子』なら「すさまじきもの」に分類されたい所かも)

当時の美の基準や時代性が分かるこんなハウツーも。

・眉毛と目の間が狭いのを広くゆったりと見せる方法
・目が大きいのを細くする方法
・にら髪を美しい髪にする薬の伝

にら髪…。
ニラのように長く伸びて乱れた髪だそう。ニラって、シュッとしたツヤ感あるストレートヘアな印象ですが、毛先は確かにボサボサかも。

この他、「足のしびれを治す方法」や「トイレを我慢する方法」といった美の作法にまで書いてあること。雑誌やネット情報が少ない当時は、貴重な美の教科書となったことでしょう…。

見ればアクビを止める方法。
期待してページを開くと、「口を閉じて、口の中にあくびを閉じ込め、口を開けないこと」という旨。バリバリ根性論で少しがっかり。

時代を超えても止まない女性ならでは美の探求。

「欲しがりません勝つまでは」の戦時中でさえ、女学生は着古した土色のモンペの内側には、キレイな色をした花柄のインナーを履いて、友達同士楽しんで見せ合いっこしていたとか(おはなし会で聞いた話)。

いつの時代も女性は美しさを求める。
美の定義は時代ごとに違うけれど、そのココロはきっと同じ。それを知ると、遠い昔の時代感もグッと縮まってくる気がします。

 

※『都風俗化粧伝』
佐山 半七丸 (著),‎ 速水 春暁斎 (イラスト)、 1982年、平凡社